私は、2003年6月より、2006年11月まで、スタンフォード大学の心血管インターベンション研 究センターに、貴学会助成金の援助を受けて留学しておりました。当センターでの研究内容を帰国報告といたし ます。
研究テーマ
冠動脈ステント内再狭窄の治療において、冠動脈内放射線療法とパクリタクセル溶出ステントによる治療効果 の違いを、血管内超音波法を用いて比較検討する。
背景
冠動脈内放射線療法は、ステント内再狭窄病変に対する治療として、現在、唯一認可されている治療法である 。同病変に対する治療において、パクリタクセル溶出ステントは、冠動脈内放射線療法と比較して、治療9ヵ月 後の臨床および血管造影上の再狭窄が減った、とTAXUS V (ISR) トライアルは示している。しかし、ステン ト内再狭窄病変にパクリタクセル溶出ステントを植え込むことによる血管の反応は、充分に調べられていない。
目的
血管内超音波法(IVUS)を用いて、ステント内再狭窄病変の治療において、パクリタクセル溶出ステント植え 込みと冠動脈内放射線療法の、9ヵ月後の血管反応の違いを検討する。
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方法
TAXUS V (ISR) トライアルの血管内超音波のデータを使った。
TAXUS V (ISR) トライアルとは、全米の前向き、多施設、無作為試験で、過去の冠動脈ステント(薬物の載っ ていない金属ステント)の再狭窄病変患者を、1:1で冠動脈内放射線療法とパクリタクセル溶出ステント植え 込みに分けて、9ヵ月後の主な心事故と、血管造影上の血管径遅延損失を比較する試験である。そのうち、IVUS を治療直後と9ヵ月後に行った病変のデータを使った。
TAXUS V(ISR)トライアルでは、396人のステント内再狭窄患者が無作為に振り分けられ、342人(86 .4%)が9ヵ月後の血管造影を施行した。そのうちIVUSを行ったのが162人で、冠動脈内放射線療法が80 人、パクリタクセル溶出ステントが82人であった。
IVUSの計測方法
IVUSのCross-Sectional 画像で、ステント、血管内腔をマニュアルでトレースし、(新生)内膜面積をステン ト面積から血管内腔面積を引いてもとめた。そして、Simpson法を用いそれぞれのCross-Sectional 画像を積分 して計算し、これら血管のパラメーターの容積を求めた。患者それぞれのステント長の違いを調整するために、 容積値をステント長で割って、容積データを容積インデックスとして示した。
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結果
治療直後のステント内のIVUSデータ
ステント内の最小内腔面積は有意にパクリタクセル溶出ステントの方が血管内放射線治療群よりも大きかった (血管内放射線治療4.2 ± 1.5 mm2 vs. パクリタクセル溶出ステント5.3 ± 1.5 mm2, p
9ヵ月後のステント内のIVUSデータ
ステント内の最小内腔面積および血管内腔容積インデックスは、パクリタクセル溶出ステントと血管内放射線 治療群で差がなかった(血管内放射線治療3.7 ± 1.7 mm2 vs. パクリタクセル溶出ステント4.1 ± 1.7 mm2, p=0.35、血管内放射線治療5.4 ± 1.8 mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント5.6 ± 1.8 mm3 /mm, p=0.63 )。ステント内の内膜の容積インデックス変化(9ヵ月後の内膜容積から治療直後のそれを差し引いた値)は、 パクリタクセル溶出ステントの方が血管内放射線治療群よりも大きい傾向にあった(血管内放射線治療0.3 ± 1.1 mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント0.7 ± 0.7 mm3 /mm, p=0.06)。
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治療直後から9ヵ月後にかけてのステント内のIVUSデータ
治療直後および9ヵ月後、両時期のIVUSが計測可能であった例(血管内放射線治療群N=30、パクリタクセル 溶出ステントN=34)で検討した。
治療直後は、血管内腔容積インデックスは、パクリタクセル溶出ステントの方が血管内放射線治療群よりも有 意に大きかった(血管内放射線治療5.6 ± 1.7 mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント6.5 ± 1.7 mm3 /mm, p<0.01)。パクリタクセル溶出ステントの血管内腔容積インデックスは治療直後から9ヵ月後にかけて有意に 減少したが(治療直後6.5 ± 1.7 mm3 /mm vs. 9ヵ月後5.4 ± 1.8 mm3 /mm, p<0.01)、その時点(9ヶ月後 )において、パクリタクセル溶出ステントと血管内放射線治療群に差はなかった(血管内放射線治療5.4 ± 1.7 mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント5.4 ± 1.8 mm3 /mm, NS)。
ステントのリフェレンス(ステントの両外側5mm)の解析
治療直後は近位部および遠位部とも、血管内腔容積インデックスに両群で有意差はなかった(ステント近位部 :血管内放射線治療6.6 ± 2.4 mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント6.1 ± 2.2 mm3 /mm, p=0.20、 ス テント遠位部:血管内放射線治療6.1 ± 2.7mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント6.0 ± 2.2 mm3 /mm, p=0.92)。9ヵ月後は、パクリタクセル溶出ステントの近位部のリフェレンス血管内腔容積インデックスは、血 管内放射線治療群よりも大きい傾向にあった(ステント近位部:血管内放射線治療5.8± 1.6 mm3 /mm vs. パク リタクセル溶出ステント6.6 ± 2.2 mm3 /mm, p=0.08)。遠位部のリフェレンス血管内腔容積は、両群で有意差 はなかった(ステント遠位部:血管内放射線治療5.1 ± 2.0mm3 /mm vs. パクリタクセル溶出ステント5.8± 2.1 mm3 /mm, p=0.11)。
まとめ
・治療直後では、血管内放射線治療群と比較しパクリタクセル溶出ステントのステント内血管内腔容積インデ ックスは大きかった。
・パクリタクセル溶出ステントの方がステント内の内膜の増加が大きい傾向にあったが、その変化量は両群と も少ない量であった。
・9ヵ月後、ステント内血管内腔容積インデックスは両群に差はなかった。
・9ヵ月後、近位部のリフェレンス血管内腔容積インデックスは、血管内放射線治療群と比較しパクリタクセ ル溶出ステントの方が大きい傾向にあった。
この研究の限界
・この研究は、比較的対象数の少ない、IVUSが可能であった選ばれた患者に基づいているため、サンプル選択 による偏りの可能性がある。
・この研究は9ヵ月後のIVUSのデータであり、さらに長期に渡る経過観察が、このステント内再狭窄病変の治 療法の永続性について判断する際に、必要である。
結語
このIVUS研究では、ステント内の内膜の増加は、血管内放射線治療群とパクリタクセル溶出ステントの両群で 微量であり、その結果、治療後9ヶ月において、この2つの治療法での血管内腔径は同等であった。
このデータは、2006年のAmerican Heart Association Scientific Session で口演した。(2007年1月)
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